過去3回に渡って紹介してきた「人体の構造と働き」もこれで最後です!
脳・神経系が少しとっつきにくく、難しい内容に感じるかもしれません。
出来るだけわかりやすいようにまとめていきますので、頑張ってついてきてくださいね!
運動器官(皮膚・骨格・筋肉)
運動器官はそれほど難しい内容はなく、日常で聞いたことがある言葉も多く並ぶ項目です。
皮膚・骨格・筋肉という順番で要点をまとめていきます。
皮膚
皮膚と、汗腺、皮脂腺、乳腺等の皮膚腺、爪や毛等の角質を総称して外皮系と呼びます。
爪・毛などの角質と呼ばれるものは皮膚の一部が変化して出来たものです。
- 身体の維持・保護
- 水分の保持
- 体温調整
- 触覚・温度感覚などの皮膚による感知機能
皮膚の表面には一定の微生物が付着しており、皮膚表面での病原菌の繁殖を防ぎ、体内の侵入を防いでいます。
体温が上昇すると血管を拡張、汗を分泌し、体温を下げる効果があります。
皮膚の色は、表皮や真皮に沈着したメラニン色素によるものです。
メラニン色素は、表皮の最下層にあるメラニン産生細胞(メラノサイト)で作られ、紫外線から皮膚組織を守ります。
皮膚の構造は表皮・真皮・皮下組織の3つから構成されています。
- 表皮
角質層と表皮細胞から作られる最も外側の部分
表皮の一部は角質層で、タンパク質の一種であるケラチンで出来ている
角質細胞とセラミドなどを主成分とする細胞間脂質で構成されるバリア機能 - 真皮
線維芽細胞とコラーゲン・エラスチンからなる結合組織の層
皮膚に弾力・強さを与え、毛細血管・知覚神経の末端が通っている - 皮下組織
脂肪細胞が多く皮下脂肪層と呼ばれる
外気温や衝撃から身を守ったり、エネルギー源を蓄える
毛根の最も深い部分を毛球、毛球の下端の凹んでいる部分を毛乳頭と呼びます。
毛乳頭は毛細血管が集まっており、毛母細胞に栄養を運んで毛を作り出す器官です。
皮脂腺には腺細胞が集まっていて、毛穴から皮脂を排出します。
汗腺には、脇の下などの特定の部位に分布するアポクリン腺(体臭腺)と、全身に分布するエクリン腺の2種類があります。
骨格
骨は生きた組織で、成長が停止した後も一生を通じて破壊(骨吸収)と修復(骨形成)が行われています。
- 骨質:緻密質と海綿質からなる骨の基本部分
- 骨膜:骨質の表面を覆い、保護や成長、再生を司る
- 骨髄:胸や腰の骨質内のゼリー状で出来た組織で、造血機能がある
- 関節軟骨:半分以上が水分で構成されている
筋組織
筋組織は、機能や形態によって、骨格筋、平滑筋、心筋に分類され、骨格筋は、横縞模様が見えることから、横紋筋と呼ばれています。
横紋筋は体性神経(運動神経)によって支配され、随意筋という自分の意志で動かせる筋肉で、収縮率は強く、持続力がありません。
平滑筋は不随意筋(自律神経)で支配されており、横紋は無く、心筋は平滑筋と同様に不随意筋ですが、骨格筋のような横縞模様があります。
平滑筋は収縮力が弱く、持続力はありますが、心筋は収縮力、持続力共に強い筋肉です。
- 横紋筋:体性神経に支配・随意筋で収縮率が強いが持続力はない
- 平滑筋:自律神経に支配・不随意筋で横紋はない・収縮率は弱いが持続力はある
- 心筋:不随意筋で横紋がある・収縮率、持続力ともに強い
脳・神経系
交感神経と副交感神経の話がメインになります。
引っ掛け問題が多く出される部分でもありますので、しっかり学んでいきましょう!
中枢神経系
中枢神経系は、脳と脊髄から構成されています。
中枢神経系に外傷などのダメージが加わると、麻痺や不随といった重篤な障害が現れることがある、大変重要な器官です。
脳は頭の上部〜下部後方にあり、髄膜・髄液で保護され、記憶や意思決定などの働きをしています。
- 終脳:左右の大脳半球
- 小脳:平衡感覚の中枢
- 間脳:自律神経の中枢
- 中脳:視覚・聴覚などの中枢
- 橋(きょう):顔面神経・三叉神経などの脳神経核が存在
- 延髄:運動中枢・呼吸中枢・心臓中枢がある
脳の下部には、自律神経系、ホルモン分泌等の調節機能があり、身体の中でもたくさんのエネルギーを消費しています。
- 脳の重さ:体重の約5%
- 血液の循環量:心拍出量の約15%
- 酸素の消費量:全身の約20%
- ブドウ糖の消費量:全身の約25%
脳には有害な物質を脳内に入るのを防ぐ血液脳関門があり、医薬品を脳に効かせる為にはこの関門を通過させなければなりません。
脳と脊髄は、延髄(後頭部と頸部の境目あたり)で繋がっています。
脊髄は脊椎の中にあり、脳と末梢の間で刺激を伝えていますが、末梢からの刺激の一部に対して脳を介さずに刺激を返す場合があり、これを脊髄反射と呼びます。
末梢神経系
末梢神経系は、体性神経系と自律神経系に分類されます。
- 体性神経系:随意運動や知覚などを担っている
- 自律神経系:交感神経系と副交感神経系からなる
自律神経系の交感神経系は、闘争や恐怖等の緊張状態に対応した態勢をとるように働くのが特徴です。
同じく自律神経系の副交感神経系は、食事や休憩等の安息状態(リラックス状態)となるように働きます。
- 交感神経の神経伝達物質:アドレナリン・ノルアドレナリン
- 副交感神経の神経伝達物質:アセチルコリン
汗腺を支配している交感神経線維の末端では、例外的にアセチルコリンが伝達物質として放出されています。
- アドレナリン様の作用がある成分=アドレナリン作動成分
- アセチルコリン様の作用がある成分=コリン作動成分
- アセチルコリンの働きを抑える作用がある成分=抗コリン成分
交感神経=運動中や緊張している時(興奮時)
副交感神経=食事中や寝る時(リラックス時)
…を思い浮かべてみてくださいね!
まとめ
今回の記事の内容は、一見すると難しそうな感じですが、比較すると覚えやすいものでもあります。
神経物質の項目はどの都道府県でも引っ掛け問題として使われやすいので、完璧に覚えるようにしましょう!
次の記事からは実生活でも役に立つ、薬が体内で働く仕組みを勉強していきます。